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ハチ公まで囲われました。タダの祭りは禁止、チケットの祭りは歓迎です

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今年もハチ公は囲われます。2023年から毎年、ハロウィンの時期になると渋谷のハチ公像は仮囲いの中に消えます。警備員が立ち、監視台が並び、区の職員が声を枯らす。その費用は今年も約7,400万円。全部、税金です。 ところが不思議なことがあります。これだけ大がかりな規制の網の中で、ただの一度も締め出されていない人たちがいます。ハロウィンを商品にして稼ぐ側です。仮装グッズは例年どおり並び、平均予算は去年より増えています。商売は無傷です。 規制されるのは、いつもタダで集まる側だけです。 1. 人は激減しました。それでも規制は毎年デカくなります まず事実からです。渋谷のハロウィン規制の本体は、2019年にできた条例です。きっかけは2018年、センター街で群衆が軽トラックを横転させた事件でした。当初は期間限定だった路上飲酒の禁止は、2024年10月から通年になりました。毎日18時から翌朝5時まで、対象エリアも広がりました。罰則はありません。指導だけです。 酒を売る側への「販売自粛」のお願いも、年々広がっています。2019年は41店舗でした。それが2025年は58店舗、今年は62店舗です。ハチ公の仮囲いは2023年に始まり、今年も10月30日から11月1日まで続きます。民間警備員は延べ約185人、区職員は延べ約70人。監視台は約10か所です。 では、肝心の人出はどうでしょう。区の発表するピーク時の滞留人数は、2024年が約2万人、2025年は雨もあって約4,500人まで減りました。人は激減しました。それでも規制は縮みません。 減っているのは人で、育っているのは規制のほうです。 2. 請求書は区民と現場へ。売る側の負担は「ごみ箱」だけです この規制のお金は、誰が出しているか。答えは最初から決まっています。 約7,400万円 は区の税金です。渋谷区民の多くはハロウィンに参加していません。条例ができた当初から、区長も区議会も区民も、税金を出すのは「本意ではない」と言ってきた、と研究論文は記録しています。当日のセンター街は売り上げが普段より大きく下がり、地元商店街の理事長は「マイナス経済効果だよ」と言いました。 現場の負担は重いです。警備員、清掃の人、販売自粛に応じるコンビニの店員。酒を売るなと言われるのは店の現場で、売り上げが減るのも現場です。 では、ハロウィンでいちばん儲けている側の負...

給料が上がっても貧乏です。賃上げの正体は、会社の引き留め費用でした

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給料は上がったはずです。なのに月末はいつもカツカツすぎます。その感覚、気のせいじゃありません。月末の苦しさの分だけ、誰かの懐は温かくなっています。 儲ける側と、払わされる側。数字の裏にあるのは、その奪い合いです。 1. 数字は「プラス」。でもレジ前では節約モードです スーパーでは安い商品に手が伸びて、買い上げ点数も減り、安いプライベートブランドばかりが売れる。それが現場の景色です。日本銀行が10月8日に公表した地域経済報告も、節約志向が根強く、客数も買い上げ点数も減っていると書いています。 ところが統計は真逆です。厚生労働省の毎月勤労統計調査(2026年8月分)によれば、物価の影響を除いた実質賃金は 前年同月比1.6%増 (確報)で、8か月連続のプラスになりました。名目賃金にあたる現金給与総額は3.9%増で、物価の上昇率2.2%を上回っています。伸び率は前月より縮みましたが、プラスはプラスです。 でも、働く側の実感は違います。労働組合の全国組織である連合は、10月22日に確認した2027年春闘の基本構想にこう書きました。「暮らしがよくなったと感じる人は少数であり、個人消費は低迷している」。基本構想が引く連合総研の調査では、賃上げが物価上昇に追いついていないと感じる人が57%に上ります。 統計は「プラス」、レジ前は「節約」。どちらかが嘘をついています。 嘘をついているのは、レジの前に立つ私たちじゃありません。 2. 賃上げの正体は、儲けの分け前じゃなく「引き留め費用」です じゃあ、なぜ会社は給料を上げたのか。日銀の同じ報告に、答えがそのまま書いてあります。企業が賃上げをする理由の多くは「人材の確保・係留(引き留め)」。平たく言えば「辞められたら困るから」です。 つまり賃上げは、儲けの分け方を見直した結果じゃありません。人手不足のなかで人を逃がさないためのコスト、引き留め費用です。 企業収益は高いというのに、です。それなのに賃上げは「働く人への配慮」のように語られる。コスト管理を善意に化粧する、その語り口は偽善でしかありません。ただし、会社が金を出さざるを得なくなったのは、働く側に辞める自由と声を上げる力があるからでもあります。引き留め費用という形でしか出てこないのは、その力がまだバラバラだからです。 上げられない側もあります。価格転嫁(コストの上昇...

春闘の賃上げは大企業だけの話です。中小と非正規には届きません

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「6%中心」って、聞こえはいいです。でも去年の「5%」を取れた組合は、全体の43%だけでした。マジでそれだけ。しかもそれ、組合のある大企業の話です。 私たち中小・非正規の給与明細には、最初から届いていないんです。 1. 要求は6%。でも去年5%を取れたのは43%だけです ニュースでは「賃上げ6%中心」と流れます。でも給与明細を見ると、マジで重ならない。連合は10月22日の中央執行委員会で、2027春季生活闘争の基本構想を確認しました。 要求は、ベースアップ(基本給そのものの底上げ)分で「4%中心、3%以上」、毎年自動で上がる分も含めた全体で「6%中心、5%以上」です。 「5%以上」は4年連続で、「6%中心」を掲げるのは今回が初めてだと報じられています。ちなみに「ベースアップ」は、英語圏にはない和製英語です。 中小の組合(組合員300人未満)には、格差を埋める分として1%以上を上乗せした「20,000円以上・6%以上」が目安になりました。有期・短時間・契約などで働く人には7%。企業内最低賃金協定では時給1,350円以上、経験5年相当で時給1,500円以上をめざします。2030年に向けた目標も新しく作られ、35歳の賃金の真ん中の値で360,000円が示されました。 ただし、基本構想自身が認めています。2026年春闘で5%を達成した組合は全体の 43% だけ。「中小企業や組合のない企業への広がりは道半ば」だといいます。そもそも春闘は1955年に始まった、産業別の組合が一斉に要求を出す形です。詳しい闘争方針は12月上旬の中央委員会で決まる予定だと報じられています。 2. 「浸透・定着」って、誰が届けるんですか 経営側も、表向きは同じ方向を向いています。経団連が2027年春闘の経営側指針とする経労委(経営側の委員会)報告の骨子案は、賃上げの勢いの「浸透・定着」を掲げ、取引をまともにして中小へ広げることを重視したと報じられています。政府も、物価上昇を1%程度上回る賃金上昇を当たり前にするとしています。 でも、ここで騙されちゃいけません。儲けが高いなかで経営側が賃上げに頷くのは、人手不足で人を引き留めないと困るからで、消費が冷えると自分たちの市場も狭くなるからで...

AIのせいにするな。人を減らすのは会社です

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「AIのせいでクビになった」――そんな話、まだ聞きません。企業調査でも、雇用への影響は「変化なし」が93.9%。なのに会社の半数が、5〜10年後に人を減らすと答えています。おかしいですよね、マジで。 減らすのはAIじゃありません。減らすと決めたのは、向こう側、会社の側です。 1. クビはまだゼロ。でも半数の会社が「人を減らす計画」です 職場にAIが入ってきた。でも楽にはならない。残るのは「自分の席、そのうち消えるんじゃないか」という不安だけです。 2026年9月29日、厚生労働省が労働経済白書(「令和8年版 労働経済の分析」)を公表しました。今年のテーマはAI。第2部で、AIが経済成長や働く現場に与える影響を調べています。 白書の言い方は、歯切れが悪すぎです。「職種などによって影響は異なる可能性がある」。だから労働者の希望に沿った労働移動と、リ・スキリング(新しい技能の学び直し)の支援が大事だ、と。判断は先送り。出てくる対策は個人の努力だけ。決める側には全然痛くない、国の公式見解です。 翌30日、日本生産性本部が「生産性年次報告2026」を公表しました。同本部の人事関連の活動に参加する企業92社へのアンケート(回答は33社)では、72.7%がAIを全社的に導入済み。導入の目的は「業務の効率化・自動化」が100%です。 いま従業員数への影響は「変化なし」が93.9%。 まだ誰も減らされていません。 ところが5〜10年後の見込みでは、従業員数が「減少する」と答えた企業が51.5%。「増加する」は9.1%だけ。企業への聞き取りでも、ふつうの事務を担当する社員の採用は「将来的に減らす方向」という見方が示されたと報じられています。 2. 「効率化」の利益は、私たちの首と賃金から出ます ここが核心です。この「減少」は、技術が勝手に起こすことじゃありません。経営側の計画です。 導入目的が100%「効率化・自動化」なら、AIへの投資が元を取れるかどうかは、人件費をどれだけ削れたかで測られます。人を減らして初めて、AIは会社にとって「儲かる道具」になる。ここはガチで奪い合いです。人件費は、会社側にとっては削るべきコスト。私たち現場の人間にとっては生活そのもの。向こうの「効率化」の利益は、こちらの首と賃金から出ます。「AIが雇用を奪う」という言い方は、半分ウソです。 奪うのは、減らすと...

106万円の壁が消えても、安く使われ続けます

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バイトのシフトを増やしたい。でも増やすと手取りが減ることがある。バグってますよね、この仕組み。その原因「年収の壁」の一つが、今年10月に消えました。でも喜ぶのはまだ早いです。壁は残っています。しかも壁の内側では、会社が保険料を負担せずに、安く人を使ってきました。 壁の正体は、金額じゃありません。 1. 消えた壁は一つだけ。残りの壁は全部そのままです 2026年10月1日、「106万円の壁」が撤廃されました。 加入を分ける線の一つが「給料が月額8.8万円以上」、年収で約106万円。これが「106万円の壁」です。この線は、2025年に決まった年金制度改正法(年金の制度を変える法律)で消えました。 理由は単純。最低賃金が上がりすぎたからです。令和7年度は全都道府県で時給1,016円を超え、週20時間働けば給料はひとりでに月8.8万円を超える。厚生労働省によれば、線は意味を失っていました。 ただし、他の線は残りました。週20時間以上、勤め先の規模51人以上、学生でないこと。 会社の規模の線は、2027年から少しずつ下がり、2035年には10人以下も対象になります。 もう一つの壁「130万円の壁」は金額そのままです。配偶者などが扶養に入れるのは、年収が原則130万円未満まで。変わったのは判定方法です。2026年4月からは、契約で決まった賃金から見込む年収で判定できるようになりました。契約にない残業代は見込みに入れません。 税金の側の線も動きました。令和8年度の税制改正で、基礎控除(所得から引ける基本の金額)は令和8・9年分だけの特例で最大104万円に上がりました。給与所得控除(給料から引ける分)の最低保障額も65万円から74万円になりました。 国税庁によれば、給与収入だけなら年収178万円まで所得税がかからない計算になります。扶養親族や配偶者の所得の条件もゆるくなりました。 つまり、消えた線は一つだけです。 2. 得をしてたのは会社です。保険料を払わず、安く使えたから そもそも壁は、誰のためにあったのか。 扶養の範囲で働く人は、社会保険料を自分で払わずに済みます。一見、得に見えます。でも本当に得をしていたのは会社です。扶養の範囲内の従業員について、会社は社会保険料の会社側分を払わずに済んできました。安く人を使える、制度の裏づけだったんです。 保険料は労使半分ずつ。新しく加入す...

アニメ業界は大儲け、作り手は貧乏なままです

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お気に入りのアニメ、今期も面白いですよね。市場規模は 3兆8,407億円 、過去最大。なのに、作っている人の平均年収は下がりました。 現場が必死に作って、権利を持つ側が吸い上げる。 その一方通行。マジでおかしいですよね。 1. 市場は過去最大3.8兆円。作る人の年収は下がりました 推しのアニメ。その作り手は、少ない休みで作っています。 日本動画協会の「アニメ産業レポート2025」によると、2024年のアニメ産業市場(ファンが払ったお金から推し量る広い意味の市場)は3兆8,407億円。前年比14.8%増で、過去最高を更新しました。 伸びを引っ張ったのは海外です。2兆1,702億円と全体の半分を超えます。制作会社全体の売上にあたる「業界市場」も4,662億円で過去最高でした。 でも現場は逆です。日本アニメーター・演出協会(JAniCA)の「アニメーション制作者実態調査2026」(2026年3月公表、文化庁と経済産業省の事業の一環、有効回答983件)。制作者の平均年収は444.6万円、真ん中の人の値(中央値)は400万円。前回2023年調査の平均455.5万円から下がりました。 月の労働時間は平均190.6時間、休日は月に7.2日。 市場は伸びて、年収は下がる。そのズレ、エグすぎます。 国もさすがに動きました。経済産業省は2026年4月23日、制作会社97社への調査も加えた報告書を公表し、仕事の環境は良くなりつつあるとしつつ、優れた事業者を認める制度(アニ適、仮称)の検討を打ち出しました。 公正取引委員会も2025年12月に報告書を出しました。製作委員会と元請(直接請け負う会社)の取引について、あまりに安い制作費を一方的に決めること、著作権をタダで渡させること、延びた分の追加のお金を払わないことを問題としてまとめています。2026年6月には取引適正化の指針も出ました。個人の愚痴じゃない。国が資料で認めた話です。 2. 儲けは製作委員会へ。作った側には戻りません なぜ現場に届かないのか。理由はガチでシンプルです。「製作委員会方式」。ここが土台です。 出版社、放送局、配信事業者、メーカーなどが出資して委員会を作る。著作権も儲けを分ける権利も、出資した側が握ります。制作会社は決められた制作費を受け取って作るだけ。作品が世界で当たろうが、儲けは権利を持つ側へ流れ、作った会社と作り...